こんにちは、もりちです。
全12回でお届けする京都をゆるいテイストで紹介する連載「京都ぶらもりち」。
某有名番組を連想させるタイトルですが、深い意味はありません。
第1回となる今回ですが、その前に簡単に私の紹介を。
いろは出版への転職を機に京都に住みはじめて4年目のWEBディレクター。
祖母の家が京都の東山三条にあり、幼少期から京都に通って憧れを抱いていた。
さて、第1回は4月18日に行われた謎のイベント「ミッドナイト念仏」をご紹介します。
(知恩院の三門)
みなさんこの不思議なイベントをご存知ですか?
毎年4月18日に東山にある知恩院三門で行われている、その名の通り夜通し一人一つの木魚を叩きながら念仏を唱えるという、かなり危険な香りのするイベントです。
私も数年前にいろは出版の同僚から教えてもらい、気になっていました。
「今夜はオールで坊主と念仏」をコンセプトに年々人気が高まっており、ここ数年は待ち時間が2時間を超えることもあるらしい。(ちなみにそんなコンセプトはありません)
いつからやっているのだろうかと調べてみると、なんと1997年からとのこと!
20年以上もこんなフェス的なイベントをやっていたなんて。。。
京都 恐るべしッ!知恩院 恐るべしッ!!
事前に調べて早めに行くほうが並ぶ時間が短いという情報を得ていたので、開始の20時より15分ほど早くに到着。
(夜の20時から翌朝の7時まで)
早めに来たから混んでないかなぁと思っていたけど、ざっと見てすでに100人くらいが並んでいる!
今年は例年よりも多いのかなと思いつつ、すかさず最後尾に並ぶ。
最近の京都は海外の旅行客が増えているので、外国の人も多いのかなと思っていたが、チラホラといるくらい。まだあまり知られていないのかも。
1回で何人くらいが入れるのだろうか?と思って待っていると、開始予定時間の20時になっていないにも関わらず、どこからかポクッポクッって木魚を叩く音が聞こえてくる。
数分後、20時になりましたが列が一向に進まない。
どうやらもっと早くにきている人達は、すでに三門の中に入って念仏を唱えているようです。
(三門に上がる入り口。この中はどんな感じなんだろうかと期待に胸が膨らみます)
これはなかなか長くなりそうだなぁと思っていると、ほどなくしてチラホラと帰っていく人たちが。
そして徐々にではあるが、列が進み始めた。
この調子だと30分くらいで入れるかな?と思っていたが、実は結構奥の方にまで列が伸びていた。
さらに15分ほど待っていると、なにやらお坊さんが拡声器を持ってきて、並んでいる人たちに向かい、
・今日は例年に比べてまだ列が短い。
・中には150人ほど席を用意している。
・5人出れば5人入れるような流れで進めている。
・待ち時間が長くなるので、トイレは目の前のバス停車場にある。
・一人での参加している人は前後の人に声をかけて列を抜けるように。
など説明してくれた。
最後に、
「長く念仏を唱えている人もいるけど、だいたいみんな足が痺れたら出てくるからもう少し待っててくださいね。」
と、並んでいる人たちへの気遣いをしてくれた。
その直後に、本当に足が痺れてまっすぐ歩けない外国人が出てきて、少し笑いを誘っていた。
そうこうしていると、もう三門の入り口が目の前に。
みんな入る前に何やらお財布を出して御朱印を買っている様子。
目の前で書いてくれるものではなく、書置きしているものですが、300円で販売していました。
あまりにもみんなが買っていくので、お会計のお坊さんがアタフタと対応していました。
御朱印は数に限りがあるので、絶対に欲しいという方は早めに行くのが良さそうです。
かくゆう私も御朱印を集めているので、御朱印帳に貼るべく、しっかりと購入。
そして並び始めてからおよそ1時間、いよいよ三門の中へ!
ちなみに中は撮影禁止のため、ここからは中の写真はありません...テキストで雰囲気をお楽しみください。
(中の風景は、知恩院公式サイトの「ミッドナイト念仏」でご確認を)
三門内は土足厳禁。入り口で袋もらい靴はその中へ入れて手に持ちます。
三門の階段はかなり急勾配なので、足腰の悪い方はどうぞお気をつけてゆっくり登ってくださいね。
滑らないように階段に這わせてあるロープを握ってゆっくりと登り切れば、いざ、ミッドナイト念仏!
恐る恐る部屋を見てみると、ロウソクで照らされた薄暗いテニスコート1面ほどの部屋に人がぎっしり座っていて、みんな一心不乱に木魚を叩いている。((((;゚Д゚))))
部屋の前にいるお坊さんに案内され、入り口近くの空いてる席に着席。
「さぁ、いよいよポクッポクッするぞ!」と思ったのですが、思ったよりテンポが早くて最初はうまく音を合わせられない。(1秒間に2ポクッくらいのスピード)
奥の方ではリードギターならぬリード木魚(と勝手に呼んでる)が、やや低音でポクッポクッと鳴っているのですが、なにせ遠いので隣の人のポクッポクッにつられて叩いてしまう。
もっとポクッポクッの音が揃っているかと思っていたけど、結構みんなバラバラで馬の足音のようにポクッポッポッポクッポッと何とも不思議なリズムになっていた。
しばらくポクッポクッとやっているとどんどんとみんなの息が合っていき、きれいなポクッポクッになる。
その瞬間がなんとも心地よかった。
見ず知らずの150人が一堂に集い、みんなでポクッポクッやる一体感。
これぞ、ミッドナイト念仏でしか味わえない体験ですね。
ずっとポクッポクッとやっていると色々と考えていることが吹き飛んで行き、目の前のポクッポクッに集中していきます。
まさにゾーンに入った!というべきでしょうか。気持ちも落ち着いている感じがしました。
そんな折に隣にスッとおじさんが座った。
流れるような手つきで木魚の棒(棓)を持ちポクッポクッと始めた。
これは中々のベテランだな、と思っていた次の瞬間、
「南無阿弥陀仏〜ッ!南無阿弥陀仏〜ッ!」
と、驚くほどのボリュームで唱え始めた。
ご想像の通り私の集中力が雲散霧消し、もう少しポクッポクッしたかった気持ちはあるが、あえなく退散。
あっというまだったなぁと思って腕時計をみてみると、15分くらいは集中してポクッポクッしていたようで、思ってたよりも時間が経っていたのだなぁと気づいた。
このまま帰るのも味気がないと思い、記念にリード木魚(あくまでも勝手にそう呼んでいる)でも叩いてみるかと、15人くらいの列に並んだ。
そう、リード木魚はお坊さん1人と参加客1人のツーマンセルで奏でているので並べばみんな叩けるのです。
並びながらリード木魚を叩いている人を見ていると、結構みんなバラバラに叩いている。
そりゃリード木魚がバラバラやったら、みんなズレるわなぁ。
私はそうはなるまい!とイメージトレーニングをしながら並んでいると、10分ほどで自分の番が。
前の人から木魚の棒(棓)を受け取り、一礼。
叩き始める前に、並んでいる人たちを横目でチラリとみると、、、、
めっちゃ見てくる(((º▽º ;;)
とんでもないプレッシャーや...
早く変わってよ、というみんなの目を感じながら「50回叩く!」と決めていたので、隣で叩いているお坊さんのリズムを見計らって叩き始める。
1、2、3、4、5、、、と何とかリズムを崩さず50回叩き終えて、次の人へと木魚の棒(棓)を渡しホッと胸をなで下ろす。
最後にお賽銭を入れ、一礼。
帰る前に改めて、この不思議な空間を眺めて色々なことを感じた。
床の軋み、揺れるロウソク、線香の匂い、並ぶ如来像、木魚をこれでもかと強く叩いてる人、リズムが合わない人、少し寒い隙間風、高そうな時計をつけている僧侶、集まった人々が何を考えてるのか、叩かずただ祈る人、ポクッポクッ音が合うときの一体感、そして隣で大声で唱えるおじさん。。。
平日の夜にどこか不思議な場所に迷い込んだような不思議な気持ちになりました。
三門を出て少し夜の知恩院をぶらぶら。
季節は4月の中旬。
満開を過ぎた桜にチラホラと葉が付き始め、新しい季節を感じます。
不思議な体験ができる「ミッドナイト念仏」。
興味のある方はぜひ来年行ってみてくださいね!
以上、ミッドナイト念仏レポートでした。
思ったより早く終わってしまったので、このまままっすぐ帰るのもさみしいなぁと思っていたところ、帰り道の京都市役所前駅あたりに赤ちょうちんを見つけたため、なだれ込むように入店。
常連さんが数人カウンター越しで店主さんと話しながら飲んでいるお店「しじみ」。
私のような1人飲みでも気軽に入れる感じのゆるい雰囲気でした。
サッポロ赤の瓶ビールと旬がそろそろ終わりそうなほたるいかの酢味噌でまったり。
めっちゃうまい。疲れた身体にほどよく染み込みました。
では、次回の更新もお楽しみに。
もりち