京都の老舗茶屋「一保堂本店」へ新茶を飲みに行ってきた – 京都ぶらもりち Vol.6
全12回でお届けする京都をゆるいテイストで紹介する連載「京都ぶらもりち」。
第6回目となる今回は、京都で300年愛され続けている老舗茶屋「一保堂本店」で2019年の新茶を飲みに行ってきました。
ちょっと前にいろは出版の同僚から「そう言えばそろそろ新茶の時期だね」という言葉を聞いていたので、「どれ、ちょっと新茶でも飲みに行ってみよではないか」と思い立ったのがきっかけである。
京都御所から寺町通を南に下ると風格ある佇まいの「一保堂本店」があります。
何度も自転車で前を通ったことがあるのですが、入るのは今回が初めて。
この日は下御霊神社の還幸祭の前日「宵宮」が19:00から行われるということもあり、普段は見ない屋台や提灯が出ていて賑わっていました。
還幸祭については本題からそれるので詳しくは下御霊神社のHPをご確認ください。
さて、本題に戻りまして、早速一保堂本店の中へ。
店内には新茶を求めてか、多くのお客さんがいらっしゃいました。
この時期ならではの「宇治本場 新茶」。
一保堂本店には茶葉などを購入する販売スペースと、お茶が飲める喫茶室「嘉木(かぼく)」があります。
喫茶室のほうはすでに満員で、私の前にも海外の観光客を含めた2・3組の待ちがありました。
15分ほど待っているとポツポツとお帰りのお客さんがいてようやく着席。
お目当ての新茶はお菓子が付いているとはいえ、なんと1杯10gで850円!
普段飲んでいるお茶とはもちろん違うのですが、なかなかのお値段ですね。
喫茶室「嘉木」では玉露・煎茶・ほうじ茶・玄米茶、そして濃茶などさまざまなお茶の種類が楽しめます。
今回は新茶を飲みに来たのですが、そもそも私は本場のお茶を飲んだことがないかもしれないと思い、新茶と飲み比べするために、煎茶も注文しました。
お店の名前にもなっている「嘉木(かぼく)」をチョイス。1杯850円。
注文したお茶それぞれに合ったお茶の淹れ方を店員さんが丁寧に教えてくれます。
「淹れるところからご自分で。」という嘉木の喫茶スタイルの通り、自分でさまざまな淹れ方でお茶を楽しめるのがいいですね。
お茶の種類ごとに美味しく飲める淹れ方が違うとのことで、まずは「嘉木」の飲み方を。
「嘉木」は煎茶。
熱いお湯だと渋みや苦味が強くなってしまうので、一度ポットからお湯を湯のみに移して冷まします。
さらにそこから2つめの湯のみにお湯を移すことで約80℃まで冷まし、ようやく急須の中へ。
最初の1杯目は茶葉がまだ開いていないので、味を抽出のため1分間ほど待ちます。
........ 机に置かれている時計を眺めながら1分たったところで素早く湯のみへ注ぐ。
注いでいるときから何やらトロッとしている。。
そして淹れたお茶がこちら!
なんか思ってたより色が薄い。。。
しかし香りからしてまず全然普通のお茶とは違います!
ズズっと口に含ませると...
!?!?!
全ッ然 違うッッ!
トロッとした口当たりで確かにお茶の味はするのですが、お出汁のような旨味と甘みがあり、今まで飲んでいたお茶とは全く異なる飲み物でした。
美味しいとか美味しくないとか詳しくはわからないのですが、物凄い複雑な味。
しばらくたった後も口の中に香りというか旨味というかが残っていて、これが本場のお茶か。。。と心底驚きました。
一保堂 恐るべしッ!お茶の奥深さ 恐るべしッ!
お茶を楽しみながらお茶菓子をいただきます。
お茶菓子の説明は忘れてしまったのですが、これもすっきりと甘く美味しかったです。
これが日本人の提供する粋というやつか。お見それしました。
1杯目を飲み終えて急須の中を見てみると、茶葉が若干開いて鮮やかな緑色がなんともキレイ。
茶葉が開ききるのが3杯まで、ということなので3杯飲めるのですが、やはり1杯目が一番美味しいらしいです。
2杯目からは急須にお湯を淹れてから抽出時間なしで大丈夫です、と店員さんが教えてくれました。
今度はちょっと渋みや苦味を感じたいと思い、80℃よりも熱めに淹れてみる。
こちらが2杯目。
1杯目よりも少し色が濃く、味も渋みが強く旨味はやや少なくなったような感じでした。
嘉木を十分に楽しんだところで、いよいよ新茶に。
新茶はポットから一度湯のみにお湯を移すくらいの熱い温度(90℃くらい)で、抽出時間は短めの40秒。
嘉木は通年安定した味が提供できるように、ブレンドされているのですが、新茶は毎年味が違うようで、お茶のプロたちが毎年新茶の味をみて最適な抽出時間と温度を決めているようです。
まじで奥深いぜ、お茶の世界。。。
左が新茶で右が嘉木。
新茶の方が鮮やかな色ですね。
飲み比べてみると、新茶の方がさらっとしていてすっきりとした旨味と渋み。
嘉木の熟成された感じとは違い、新茶ならではの若々しい味がしました。
この季節しか味わえない貴重な体験。
同じ煎茶だけど、味も香りも違うので、2つ頼んで飲み比べするのを絶対おすすめします!
こちらは新茶を頼んだときのお茶菓子のやき餅。
ちなみにお茶菓子は老舗和菓子屋さんのお菓子で、注文の際に干菓子か生菓子か選ぶことができ、すべて注文ごとに違っているようです。
周りのお客さんを見てみると、本当に同じものを食べている人がいない。
いろんなお茶菓子を楽しめるのも、一保堂ならではです。
そして3杯目の抽出へ。
茶葉は完全に開ききった感じで、お茶の味も1杯目と違い、いつも飲むような煎茶の味に近づいてきてました。(それでも十分奥深い味がするのですが)
こちらが3杯ずつ淹れた後の新茶と嘉木の茶葉。
パッと見は同じように見えるのですが、味が全然違うのが本当に驚きでした。
ここでやめればいいのに、やはり気になってしまうのが人間です。
禁断の4杯目へ。
最初に教えてもらった淹れ方でちゃんと淹れたのですが、もはや1杯目と比べ物にならないくらい普通のお茶っぽくなりました。
やはり言われた通りに3杯でやめておくべきでしたね。
逆に言えば、4杯目でようやく普通の煎茶と同じくらいのポテンシャルの高さがすごい。
伝票のデザインもおしゃれな感じ。
お会計中、ちょうど濃茶を注文されている方がいらっしゃいました。
ちゃんとした茶器でお茶をたててくれるんですね。
次に来た時はチャレンジしてみようと思いました。
他にも新茶を購入して家で楽しむこともできますので、観光で来られた方はお土産にぜひ。
開花堂の茶筒。
お高いけど、かっこいいー!
少し日が暮れて来ましたが、まだまだ喫茶室「嘉木」にはお客さんがいらっしゃってました。
混雑を避けるなら夕方くらいがおすすめかもしれません。
最初はお茶が1杯 850円って少しお高めだなぁと思っていましたが、お茶の奥深さを知ることができた貴重な体験となりました。
新茶に限らず、また一保堂のお茶を飲みに行ってみようと思いました。
以上、一保堂本店の新茶レポートでした!
大満足で帰路についていたところ、ちょっとおしゃれなベーカリーを見つけたので寄ってみることに。
GRANDIR(グランディール京都)。
店頭にはちょっと変わった「日替わり食パン」なるものが。
この日は土曜日だったので、「ショコラティエ」というブラックココアの食パンでした。ほんとに真っ黒で興味がそそられたので、ベーグルと合わせて購入してみた。
そして、翌日の朝食。
カカオの風味が効いた大人の味でとても美味しかったです。
気になった方はぜひ。
それでは、次回の更新もお楽しみに。
もりち